自動火災報知設備
自動火災報知設備は、感知器を用いて火災により発生する熱や煙を自動的に検知し、ベルを鳴動させて建物内に報知することにより、避難と初期消火活動を促す設備です。
消防法と条例により、一定面積以上の建物や店舗がある雑居ビルなどの防火対象物に設置が義務付けられています。略称で「自火報設備」と呼ばれることもあります。
自動火災報知機設備には寿命があります
自動火災報知設備は設置を行ってから10年ほど経過すると、劣化などにより故障が発生する可能性が高くなります。
部品供給が困難になっています
近年では技術の進化が早く、使用部品が部品メーカーで生産終了となっているケースが多く発生しています。
交換ではなく、補修による設備の機能や性能を維持することが難しくなってきています。
既設の自動火災報知設備の交換目安について
自動火災報知機設備の一部は法改正や、型式執行制度、定期点検などによって設備の更新(交換)が行われています。
しかし、設備の機能と性能の信頼性を維持するには限界があり、設置から一定期間が過ぎた設備に関しては更新(交換)が必要となります。
一般社団法人日本火災報知機工業会では、約4000件の点検物件から不具合などで交換された機器の調査データに基づき、自動火災報知設備の主要機器の更新期間を下記のように設定しています。
受信機 | 15年(20年※) |
煙式感知器 | 10年 |
熱式感知器(半導体式) | 10年 |
熱式感知器 | 15年 |
発信機 | 20年 |
地区音響装置 | 20年 |
※電子機器部品を多用していない機器
電気部品やユニットの交換目安について
自動火災報知器設備や総合操作盤には電池、スイッチング電源など、寿命のある部品が使用されています。
これらの部品は一般の電気機器と同様に時間経過とともに劣化・摩耗していくため、予防保全の観点から定期的に交換を行うことが必要です。
一般社団法人日本火災報知機工業会では、部品業界の寿命年数を基に、定期交換推奨年数を下記のように定めています。
スイッチング電源 | 5年 |
無停電電源装置(UPS)本体 | 6年 |
シール鉛蓄電池(UPS用を含む) | 3年 |
冷却ファン(UPS用を含む) | 3年 |
ニッケルカドニウム蓄電池 | 5年 |
CRTディスプレイ | 4年 |
LCD(液晶ディスプレイ) | 5年 |
プラズマディスプレイ | 5年 |
ELディスプレイ | 5年 |
ハードディスク | 4年 |
フロッピーディスクドライブ | 5年 |
プリンター | 5年 |
主要設備の更新目安について
R型受信機・P型受信機
R型受信機・P型受信機 | 15年 |
P型受信機 (電子機器部品を多用していない機器) |
20年 |
各内蔵蓄電池 | 3~5年 |
感知器
煙感知器 | 10年 |
熱感知器(半導体式) | 10年 |
熱感知器 | 15年 |
発信機・地区音響装置
発信機 | 20年 |
地区音響装置 | 20年 |
連動操作盤
連動操作盤 | 15年 |
連動操作盤 電子機器部品を多用していない機器 |
20年 |
各内蔵蓄電池 | 3~5年 |
その他
防火戸用ロック(磁石式) | 7~8年 |
非常警報設備 | 15年(内蔵蓄電池:3~5年) |
ガス警報器 | 5年 |
誘導灯・非常用照明器具
誘導灯・非常用照明器具は認定マークの色で交換時期の目安が分かります。器具の耐用年数については、約12年と言われています。
誘導灯
器具ごと交換を推奨 | 定期的な点検を推奨 |
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非常用照明器具
器具ごと交換を推奨 | 定期的な点検を推奨 |
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